ネパールに行った話「平穏な時間とダルバート」前編

  前回の続き。

 

newold0123.hatenablog.comお

 

 と、その前に電撃大賞のお話。

 先月1次選考を通過し狂喜乱舞していた僕ですが、2次選考に無事落ちました。

 主人公の名前を間違えていたので当然の結果ですが悔しい。スーパーサイヤ人になりそうな程悔しいですが、これを糧にして来年に挑みます。真面目なコメント。

 その電撃大賞に応募した作品をカクヨムにアップしました。

kakuyomu.jp

 豚しゃぶ日常系のラブコメです。感想お待ちしています

 

 という訳で前回の続きです。とはいうものの、空港で5万円を紛失し、その日に泊まったホテルがパーティナイトで爆音だった以上のエピソードは無くて、残りは実に穏やかな日々。

 それでいい。何もないのがいい。

 そんなわけで首都カトマンズからナガルコットへ向かう僕達。泊まったホテルの人に車を手配してもらいいざ出発。

 ちなみに車を待っている時、欧米の若い夫婦かカップルがホテルの人にブチ切れていて、「うるさくて寝れなった!時間を返せ!」みたいなこを叫んでいた。確かにあの日の爆音はやり過ごせない感じではあった。大晦日にネパール行く人は泊まるホテルに要注意。

 

 またここから写真で振り返る。この風景を実際生で見ていたなんて今考えると信じられないけど、やけに鮮明に残っているので本物の記憶。

写ルンです

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多摩川河川敷感あるけどネパールです。次行ったら自転車で走ってみたい。

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これを何で撮ったのか?覚えていません……。

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こういう何でもない風景。好き。

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ここは大きなショッピングモールだったけどただ通り過ぎただけ。色々行ってみたいけど、でも静かにも過ごしたい。

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一見荒涼とした風景だけど、でも不思議と寂しい感じはしなかった。

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いたるところに鶏とひよこがいた。皆家で飼って卵をとっているのだろうか。

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ナガルコットで泊まったホテルの屋上。ここは本当に最高だった。景色もよく、そして僕達以外誰もいなかった。

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ホテルに行く途中の山道にあるカレー屋。後で別の写真も載せるけど、大人3人で押せば倒れてしまいそうな小屋だった。

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カレー屋さんの娘さん。愛嬌のある子だった。元気にしているかな。

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見る風景全て新鮮だった。でもちゃんと同じ生活があるんだなと思った。

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夕日が綺麗に見える場所があるというので、そこへ向かっていた時にこの子達に遭遇。最高に元気で明るかった。

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ただのんびり歩いて、ぼんやりして、思い出したように写真に収めた風景。犬かわいい。

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ナガルコットの朝日。静寂かと思いきや、色々なホテルに沢山の人がいて、「こんなに人いたんかい!」ってなった。

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そしてこの写真をジャケットにした曲をspotifyとかapplemusic等で配信しているので聴いてみてね。※突然の宣伝



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この朝日を3人でのんびり見れたのは本当良かった。あの時間をもう一度過ごしたい。

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ウィードネパール編

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こういう廃屋に切なさを感じる。

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ナガルコットには立派なホテルが沢山あった。

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工事中だったと思われる建物。

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日本の方が経営されている雲海リゾート。次はここに泊まりたい。

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ヒマラヤ山脈は嘘みたいに綺麗で広大でした。あそこに挑む人の勇気。

 

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このホテルの外壁は、スズメたちのマンションでした。排水溝で日向ぼっこ。上も下もチュンチュン。

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道。うん。これ何で撮ったんだろう。

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ウィードネパール編(2回目)

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木梨憲武似の主人が経営しているというノリタケカフェ。ここで朝からもりもり食べてもりもりビールを飲んだ。

 というわけで今回は写ルンですで撮った写真を載せてふりかえった。

 次回はスマホで撮った写真を載せつつ、帰国までを思い出します。

 

「ネパールに行った話「平穏な時間とダルバート」後編に続く……。














 

 

ネパールに行った話 「5000km離れていても」

前回の続き。

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 その前に個人的に嬉しいお知らせが。電撃大賞に応募していた作品が一次選考を通過していました。

dengekitaisho.jp

 めっちゃ嬉しい。

 だけど応募した作品を改めて見直してみたが、これはきっとあらすじだけで通ったんだろうなと思わざるを得ない……。もっと書けただろと執筆当時の自分に言ってやりたいです。

 二次選考はどうなることやら……。

 

 

 それはさておき前回の続き。

 5万円が入った財布を機内に忘れた僕は、空港スタッフと2人きりで滑走路近くの通路で待っていたよ。一体どうなることやら。

 

 体感的には1時間位待ったような長さだったけど、実際は数分だったと思う。

 飛行機からこちらへきたスタッフの人が財布を掲げこちらに手を振ってきたのを見た時、僕はその人がヒーローに見えた。暗闇へと落ちた僕を助けてくれるヒーロー。

 ヒーローから財布を受け取る。良かったなという表情を浮かべるスタッフの2人。しかし財布に入っていた5万円はいなかった。500円玉はいた。

 まじかよ!という驚愕の表情を浮かべたものの、「まぁそりゃそうか」という諦めもあった。

 

 それからしばらくして空港のスタッフは10人と、向こうの刑事さんがやってきて「探したけど無かったよ」ということを伝えられた。

 しかしこの刑事さん背高くてスタイルよくてかっこよかった。名探偵コナン実写版がネパールでやるとしたらこの人に安室役をお願いしたい。

 

 落胆する僕にKさんとM君は優しく声をかけてくれ、それぞれから1万円ずつ借りることになった。2人とも余裕をもって持ってきていて助かった。本当感謝しかない。

 そしてネパールの滞在費はこの2万円で足りた。

 

 気持ちを切り替え(主に僕が)僕達は空港を出た。今日泊まるホテルのスタッフが15時過ぎに迎えに来てくれるのに、財布紛失騒動のせいで気が付けば時間は16時過ぎ!

 外を確認してみるとネームプレートを持った人がいたので「ごめんなさい!」と謝り車に乗り込みホテルへと向かった。

 

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空港出て直ぐに撮った写真。この画像では伝わらないが、ヒマラヤ山脈でかい。



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空港へと向かう途中に、助手席から写ルンですで撮った1枚。財布を落とし落ち込む私の心が現れた傑作。

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ホテル近くの通り。大晦日ということもあり大変賑わっていた。

 そして無事ホテルに到着。この日はホテルヒマラヤンオアシスという所に宿泊。リニューアルされたばかりということで、部屋の中はとても綺麗だった。

goo.gl



 成田空港を出発してから丸一日以上が経過し僕もKさんもM君もグッタリ。とはいえ大晦日の活気ある雰囲気が町中に溢れていて否応にもテンションは上がる。

 とりあえず荷物を置いてシャワーを浴びて町へと繰り出すことに。

 KさんM君がシャワーを浴びている間、僕はWi-Fiに接続し嫁に電話(LINE)した。

 今考えれば黙っていても良かったのかもしれないと思ったが、思考停止状態だったのでありのままを伝えた。

 電話した時は嫁家で親友のRさんと紅白歌合戦を見ていた。

「着いた?お疲れさん」

 と僕が到着したことを喜んでいた様子だったが、そこに訪れる悲しいお知らせ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕「飛行機の中に財布忘れて戻ってきたんだけど、中に入っていた5万円が抜かれました!ごめんなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ怒られました。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  今後の人生において5000km以上離れた所で嫁さんに怒られることは無いだろうなと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 財布も落とし、ひとしきり怒られた。そして今は大晦日で僕はネパール。

 ある意味盆と正月が一緒に来たようだ。

 気持ちを切り替え僕達はタメルへと繰り出した。

 

 ここからはスマホ写ルンですの写真を織り交ぜながら振り返る。

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現地の方の後姿を撮りたかったわけではなく、本当は近くにいた犬を撮りたかった。

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タメルだけではなく、ネパールはとにかく電線がカオス。serial experiments lainを思い出しながら歩いた。

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小さい寺院?と電線。見た目がSF過ぎてテンション上がる。

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そこら中野良犬だらけ。銀牙伝説WEED(ネパール版)

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行きたかったモモのお店が満席だったので、適当に歩いて見つけたお店に入った。名前……なんだっけ。

余談だけどネパールのビール「ネパールアイス」が凄い美味しくて滞在中ずっと飲んでいた。しかも安い。ここのお店で頼んだ大瓶は350円位だった。

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トゥンバというネパールの地酒。発酵した穀物が入っていてそこにお湯を入れて飲む。凄い安い。味はライチのようなフルーティな感じ。

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カレー味のチキン。美味かったような気がする。

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そしてトイレ。

 ネパールに行く前に「ネパールはアジア最貧国だよ」と誰かから聞いて、正直インフラ系の設備が汚かったら「嫌だなぁ汚いなぁ」とストレスを感じるのだろうかと心配していたが、実際は何も気にならなかった。確かに建物や道路やシャワーやトイレや色々ボロボロだったけど、不思議と何も気にならなかった。とても良い国だなーと滞在中ずっと思っていた。その辺りの感想は最終回で。

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飲んで食べて眠くなったので夜のタメルを腹ごなしに徘徊。大晦日なので人が凄かった。



 まだまだ飲んで遊びたかったけど、3人ともクタクタで限界を迎えたのでホテルに帰って寝ることに。カウントダウンを迎えるまでは起きていられない。

 そんな状態でホテルの部屋に帰ってくると……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

youtu.be

 EDMが爆音で流れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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爆音というレベルを超えた音量の大きさ

 そう。今日は大晦日。皆パーティタイム。

 僕達が止まった部屋の向かいと隣では年越し大パーティーが行われていて、EDMが爆音で流れていた。というかむしろライブハウスやクラブの中にいるよりうるさくて、部屋にいるのにちゃんと低音が聞こえるというある意味最高な環境。

 

 これ普段だったらうるさくて絶対に寝れないけど、3人ともこの爆音を上回る眠さの上に酔っぱらっていたので、気が付いたらスヤスヤと寝ていた。 

 

 翌朝。目が覚めると6時頃。朝食の時間まで大分あるので、各々散歩へと向かう。

 

 というわけでここからしばらくは写真タイム。

写ルンです

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朝のタメル。ホテルの屋上から。昨晩の大パーティーの喧騒が嘘のように静まり返っていた。なぜこの時フィールドレコーディングしなかったのか。ZOOMのH2nを持ってこなかったことが悔やまれる。

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こちらもホテルの屋上から。


 

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野良犬。君はここで朝を迎えたのかい?それともご飯をくれる誰がここにいるのかい?

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すぐ近くにも野良犬が。人のことを気にせずチャッチャッとどこかへと向かっていた。

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店の前で佇む野良犬。右も左も野良犬ばかり。皆かわいい顔つき。

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朝のパトロール中の野良犬。誰も野良犬を邪険に扱っている人はいなかった。だからといって甘やかしているわけでもなく、人は人。犬は犬という空気が流れていたように思える。

ヒンドゥー教では犬は神の使いという信仰があるのね。

10年前の記事だけどこちらに記載が。

www.afpbb.com

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皆と合流し、ホテルから少し離れたところにあるお店で朝食を食べに行く。そこの入り口がこんな感じでテンションが上がる。

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建物に囲まれた中庭での朝食。

スマホでの写真】

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ホテルの屋上から。雑多とした風景が最高。

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この野良犬はとてもかわいかった。今もここにいるのだろうか。

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こちらの野良犬はパトロールに大忙し。

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この電柱本当かっこいい。というかどこに何が通っているのか分かるのだろうか。
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食べた朝食。THE朝食って感じですね。

 初日の大騒動とは打って変わってとても穏やかな気持ちで迎えられた2日目の朝。

 この日から僕達はナガルコットに移動して、ただボーっと過ごす予定。

 

 というわけで次回「平穏な時間とダルバート」に続く……。












 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネパールに行った話 「医者の月給」

  前回の続き。

newold0123.hatenablog.com

 成田空港を出発した飛行機は無事アブダビ国際空港に着陸し、トランジットが始まった。

 

アブダビピンクドラム』

 アブダビ国際空港に着いたのは確か0時過ぎだったような気がする。

 そこから10時間待つ。長い。

 なにはともあれ乾杯しようと空港内のパブへ行ったが、高い。ビールの値段が信じられなく高い。アブダビの通貨UAEのレートが1UAE=30円位で、ビール1パイントの値段が70UAE=2000円!!ユーロホップ24缶買えちゃう!

「まじか……」

 KさんとM君と僕は顔を見合わせたが、最終的には飲むことにした。

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Kさんが撮影した写真を拝借。リアル充実タイプの撮影方法。

 ビールで喉を潤した僕達は空港を少しだけ散策し、足を延ばして寝れる椅子が置いてある一画を発見したのでそこで夜を明かすことに。

 リュックを枕にして5時間位寝れた。

 寝る前にスマホに落としていた輪るピングドラムを見た。まさかドバイの地で初視聴することになるとは夢にも思っていなかった。生存戦略

 僕の前に座っていた欧米のおばあちゃんもスマホで何かを見ていた。一体何を見ていたのだろうか。

 そんなことを考えながら眠りについた。

 

 目覚めると時刻はまだ6時前だったが、二度寝は出来そうになかったのでそのまま起きて1人で空港を散歩した。頭がボーっとしていたせいか、写真を全く撮らなかった。

 空港内はとても近代的で、なぜか伊藤計劃のハーモニーを思い出した。

 色々な人種の人が歩いていた。皆ここからまたどこかへと飛行機で飛び立っていき、目的地で観光したり、仕事したり、家に帰って日常に戻っていったりするのかと考えていたら、不思議な気持ちになった。

 気が付いたら2時間ほどブラブラしていたので、売店でサンドイッチと水を買ってKさんとM君の所に戻った。

 腹ごしらえをして荷物をまとめ、忘れ物の確認をして再び飛行機へ。昼前に出発して15時30分に到着予定の便に乗った。

 

『あの日あの時あの場所で』

 成田空港を出発して約丸1日。体も痛いし頭もボーっとするけど、やっとネパールに着く!僕は久しぶりに胸に抱いたワクワクする気持ちを抑えるのに必死で、まだかなまだかなとソワソワしていた。

 そして、ついに飛行機はトリブバン国際空港に着陸!

 

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ウェルカムトゥネパール!

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うぇるかむとぅねぱーる!!

youtu.be

ウェルカムトゥジャンゴー!!!

 

 そう。この時の僕は浮かれていた。

 長時間の移動から解放され、聳え立つヒマラヤ山脈を目にし浮かれていた。

 

 僕達は飛行機から降り、出国の手続きをする前に先に空港内でネパールルピーに両替することにした。疲れていたし、大晦日ということもあり、時間をかけて一番高い所を探す気にはなれなかった。

 Kさん。M君が両替を終え次は僕の番。

 

 黄色いバッグの中から財布を取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 財布が、無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 この鞄に入れておいた財布がない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は次の瞬間思い出した。

 財布をどこに置いたか。

 

 アブダビ空港を出発した飛行機。ネパールまで約5時間。

 その間輪るピングドラムの続きを見ようと機内のWi-Fiサービスを利用することに。1時間5$だったので迷ったが、残る数話を見てしまいたかったので購入。しかしnetflixのアプリを開いてみると「国が違うから見れません」と表示されてしまい断念。デビットカードを財布にしまい、財布を鞄へ戻すその前に、一度鞄の中身を整理しようと僕は席の前の網に財布を入れた。

 

 飛行機がネパールに着き席を立って一歩前へに進んだ時、僕は「あ、忘れ物ないか確認しなきゃ」と後ろを振り向いたのだが、降りる人の勢いと圧に負けて「まぁ大丈夫か」とそのまま降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:newold0123:20190630162731p:plainイェーイ!ウェルカムトゥネパール!

じゃねーよ!財布無いことに気付けよ!

今ならまだ間に合う!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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イェーイ!M君かっこよく撮ってね!

じゃねーよ!財布財布!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は慌てて戻り、空港のスタッフにそのことを伝えようとした。

 英語力0の僕がその時咄嗟に口から出た言葉が、

「My wallet is lost」

だった。空港のスタッフはその言葉で察してくれたようで、MさんとK君を残し、僕は空港のスタッフと一緒に来た道を戻った。

 滑走路から空港に入る入口の前で、僕と空港のスタッフは待機。スタッフは時折無線機で何かを話している。そしてスタッフは僕の肩を優しく叩いてくれた。優しい。そして近くの花壇にはなんとタカサゴモズが。日本では迷鳥としてたまに来る大変珍しいモズ。

 なんてことを考えながら、僕は財布を無くしたショックから現実逃避をしていた。

 

 財布の中には旅行の為に頑張って用意した5万円が入っていた。

 後にお義父さんから

「ネパールでは医者の月給が5万円らしいよ」

といううんちくを頂くことになろうとは、この時の僕は思いもしなかった。

 

 5万円を拾った人がCAなのか、他の乗客なのかは分からないけど、怒らないから何に使ったか教えてほしい。

 

 というわけで次回「5000km離れていても」に続く……。

 

 

 

 

  

ネパールに行った話 「待っててスガオ君」

 ネパールに行った、といっても最近ではなく2017年の大晦日なので、もう1年半前のこと。

帰国したら直ぐブログに書こうと思っていたが、あっという間に月日が経っていた。筆が遅いにも程がある。

 

 先日新松戸から水戸までの90kmを歩く旅をしたが、その前に先ずはネパールへ行ったことを書かなければスッキリしないので、ようやく重い腰を上げることに。

 もったいぶっているような雰囲気を醸し出しているけど、人生二度目の海外(25年ぶり)だし、初めてのネパールなので、何か特別な情報があるわけでもない。ただの旅行記。それもいたってシンプルな。

 だからもしこれからネパールに行く人がこのブログにやってきたとしたら、「なんかここの店気になる~けど入ってみたらそうでもなかったー」という1分位で店から出る感じになることをお伝えしておきたい。

 

『なぜネパールだったのか』

 2年前の6月位、地元へ帰ったM君が東京に遊びに来ていて、仲が良かったKさんとKさんの奥さんとの4人で飲んでいた。M君は1人でインドへ1か月行ったことがあり、また東南アジア辺りに行きたいと会う旅に漏らしていた。

「ネパールに行きませんか?」

 ほろ酔いのM君に誘われ、「おーいいねー」なんてKさんと言っていたが、飲みの席でよくある会話の流れだろうと、この時は本気にしていなかった。

 その後9月位にM君とKさんとLINEでやりとりをしていたらまたネパールの話になり、M君とKさんは割と乗り気な感じだったが、僕はあまり現実味が無いなーと2人のやりとりを眺めていた。

 しかし、その年は12月30日(土)から1月4日(木)まで6連休だったので、「あれ、これならひょっとして行けるかも」と僕は恐る恐る嫁さんに「ネパール行っていい?」と冗談テイストで聞いてみたところ、「別にいいよ」とすんなり返事してくれた。

 正直「えーそれならどこか連れていってよ!新婚だよ?」と反対されると思っていたけど、「そういうのは行ける時に行った方がいいよ」と嫁さんは賛成してくれた。頭が上がりません。

 そして飛行機代と滞在費を計算してみると15万円以内。それならなんとか用意出来そうだったので、「行きましょう」とメッセージを送りネパール行きが決まった。

 こうして思い返してみるとなぜネパールだったのか特に大きな理由は無く、なんとなくだった。

 

『スガオと神々の山嶺

 ネパール行きが決まったので早速飛行機のチケットを予約!となるところが、僕だけがパスポートを持っていなかったので結局10月の下旬頃までチケットを取ることが出来なかった。もう少し早めに取れていれば往復で10万円以内に収まったが、結局13万3380円もかかってしまった。無念……。

 

 パスポートを無事取得し、飛行機のチケットも取った。そしてビザのことを調べてみると、トリブバン国際空港は大変混みあうので事前に取得するのがいいととのことだったので、ネパール大使館のHPから申請書をダウンロードし記入(記入方法は大使館のHPに記載されている)。

 パスポートをネパールに大使館に送ると、数日後ビザが押されたパスポートが戻ってきた。こうして15日間のビザ3000円を無事ゲット。ほっと一安心。

 ちなみにビザの取得を代行してくれる旅行代理店があるが、約1万6000円とかなり割高なので自分で手続きすることをおすすめします。

 

 そして1泊目に泊まるホテルはエクスペディアで予約。予約後ホテルから英語で「何時の飛行機で何時に着くの?」とメールが来たが、頑張って調べて最終的にGoogle翻訳先生にお願いして準備は万端。

  予約した宿はホテルヒマラヤンオアシスという所で、朝食もついて1泊3000円と安かった(もっと安い所もあったけど、初日は疲れているし綺麗なところを選んだのだがまさかあんなことに……)

 

 こうして諸々準備が整い、後は出発日が来るのを待つばかりとなった。

 その間に初日はここでモモを食おう、ここでカレーを食べようと色々調べていたが、今回の旅の目的は「何もしないでゆっくりする」ということなので、行き当たりばったりで気になった所へ流れ込もうかという話になったり、嫁に「ネパールって何があるか知ってる?」と聞かれたり。

 それで先ず頭に思い浮かぶのはこの方達。

・スガオくん

・チットちゃん

・先生

・イエティ

 少年アシベに出てくる人と獣。30代の人に「ネパールといえば?」と質問したらスガオくんが9割を占める可能性がある。PO-28を賭けてもいい。

 ネパールに対してのこのイメージは20代後半まで更新されなかったが、神々の山嶺を読んでからスガオ君が更にワイルドなイメージに書き換えられた。

 結局ネパールがどんな所なのか、僕はちゃんと調べずに土を踏むことになる。

 

 

『初めてのトランジット』

 12月29日。仕事を納め帰宅。準備は既に終えていたので、忘れ物が無いか最終チェック。現地にいる野鳥を撮りたかったので、望遠レンズと一眼レフを持っていこうとしたが、嫁と協議した結果今回は諦めることにした。ナイスバード。

 翌日、パンパンに詰まったリュックサックを背負い、僕は家を後にした。

 バスタ新宿でKさんとM君と合流し、予約していた成田空港行きのバスのチケットを渡し乗り込んだ。空港に向かう途中、「これからネパールに行くんだ」という気持ちがふつふつと沸き起こり、窓の外に向かって手を振り、「僕、これからネパールに行くんです!」と知らせたい気持ちに駆られたが、工業地帯の建物しか見えなかった。

 空港に着き、飛行機に乗るまでの間にビールで乾杯をした。それでもどこかまだ現実味が無いなと、ビールを流し込んだ。

 

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 ビールを飲んだ後、余裕を持ってゲートをくぐり、出発を待った。

 正直この辺りのことはあまり覚えていない。ただただ墜落しないようにと心の中で祈り、表では平静を装っていたような気がする。

 空も飛行機も好きだけど、乗るのは嫌いなタイプの人間。

 そして飛行機は飛んだ。目的地のネパールを飛び越して、アラブ首長国連邦にあるアブダビ空港へ着陸。10時間位乗っていたような気がする。

 この間にくりぃむしちゅーのANNで上田のむちゃぶりに出てきた、「ビーフorフィッシュ」を経験することができた。一生分のビーフorフィッシュを経験。

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 飛行機で寝ては起きてを繰り返した中での空腹だったので、もう何を食べても美味しかった。

 

 空港に到着した後、ターミナルにバスで移動する間に見かけたこの謎の巨大建造物を見て、個人的に凄いテンションが上がった。弐瓶勉先生の漫画や井上直久先生の絵が好きなので、これは一体何なのかと妄想を思う存分したかったが、かなり疲れていたので写真を撮る位で終わってしまった。

 ちなみに旅行直前にスマホが壊れてしまい、楽天モバイルで5000円位のスマホに買い替えたが、画質がとても悪く少々不快だった。

 スマホ以外に写ルンですも2個買って持っていった。

 

スマホで撮影】

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写ルンですで撮影】

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 うん。圧倒的に写ルンですの方がいい。

 

 何はともあれ、僕達を乗せたバスはターミナルに向かった。

 トランジットが始まる。

 

次回「医者の月給」に続く

 

 

 

菅野美穂が見ている

 3年前、ちょっとしたきっかけで野鳥に興味をもつようになり、バードウオッチング(以下鳥見)を始めるようになった。

 鳥見を始めた頃、自分が生まれ育った家の前にあった大きな公園が実は鳥見スポットだったことを知り、双眼鏡を持って出かけた時のこと。

 僕と妻(以下Kさん)は公園内をぶらぶらしながら、目に入った野鳥を双眼鏡で覗き、図鑑と照らし合わせ鳥見を楽しんでいた。そんな中、カメラマンの男性が作られた枝に餌を付け、野鳥をおびき寄せ写真を撮っているのを見て、テンションがだだ下がりした記憶がある。

 そろそろ帰ろうかという時に、公園に隣接する神社へ寄ることにした。子供の頃元旦はその神社へ行き、縁日があればお小遣いを握りしめ型抜きに熱中した思い出の場所。
無邪気に鳥居をくぐってはいしゃいだ日もあったなと、そんなことを思い出しながら神社へ向かうと、骨董市と書かれたのぼりがあり、毎月第4日曜日に開催されているようで、そんな催しがあることなんて全然知らなかった僕は新鮮な気持ちで境内に入った。
 境内にはほんの少しだけ骨董を売るおじさんと、本を売るおじさんだけしかおらず、骨董市と呼ぶには少し寂しく、どこかの骨董市から転送されてきたかのように見えた。
 そんな規模だったので、数分もかからない内に見終わってしまい、どうしたものかと佇んでいると視線を感じたので、そちらの方を向くと、いた。菅野美穂がこちらを見ていた。
 古本は神楽殿の周りに敷かれているブルーシートに置かれていて、大判の本や写真集は神楽殿の周りに立て掛けられていた。そこの菅野美穂のヌード写真集があった。
「あ、懐かしいね」
「そうだね」
 とKさんと話したが、僕は神聖な神楽殿にヌード写真が置かれているなんてなんか背徳エッチだなと、下らないことを考え神社を後にした。

 それから3年後。僕とKさんが再びその公園に訪れ神社に寄ってみると、偶然にもその日が第4日曜日でだったので、骨董市が開かれていた。
 境内にはまたほんの少しだけ骨董を売るおじさんと、本を売るおじさんだけしかおらず、やはりどこかの骨董市から転送されてきたのだろう。
「前もこんな感じだったね」
「そうだったっけ?」
 Kさんと話ながら、私は忘れていた何かを思い出すかのように神楽殿の方を見ると、そこに菅野美穂のヌード写真集が置かれていた。

いた!やっぱりトトロはいたんだ!

 幻想的な生物を発見したかのような感情が一瞬過ったが、この3年間毎月第4日曜日に神楽殿のあの位置に立て掛けら、菅野美穂はじっと神社の境内の先にある森を見ていたのかと考えると、なんだか寂しくなった。 
 とはいえコート紙に印刷されたただの写真であり、写真集自体に何の思い入れもなかったが、私の中で菅野美穂の写真集に対する何かが生まれた。一瞬買おうか迷ったが、Kさんにそんなものいらないと怒られるのが目に見えていたので、その場を後にした。

 もし、次行くことがあって、菅野美穂のヌード写真集がまだ売られていたのなら、その時は買おうと思う。
 そして、よく海が見える場所に家を建てて、そこに飾ろうと思う。
 海を見せてやりたい気持ちなんだ。

 きっとこういう感情が付喪神を作り上げたのだろうと、そんなことをふと思った話。
 
 

病院にピエロ

子供の頃から頻繁に病院へ行っている。
記憶には無いが、0歳の時ゆりかご椅子がひっくり返って頭から窓ガラスに突っ込み、十何針縫う大怪我をしたそうで。生まれて間もなく生死の境を彷徨っていたとは。
どうりで(ほんの)ちょっとだけ頭が悪いのか。
これが始まりだ。
それから僕は中耳炎や鼻炎でしょっちゅう耳鼻科に行ったり、気管支炎になって1か月程入院したりとにかく病院のお世話になっていた。

10代後半はわりと健康で行くこともなかったが、20歳位の時にバイト中に肺が痛くなり救急車に担ぎ込まれてそのまま入院。肺気胸だった。

それ以降は特に何も無かったので安心していたが、30歳を前にして真珠腫性中耳炎を発症し入院手術。全身麻酔後に尿道に管が入っているのが地獄。それをズルズルと尿道から抜く時の痛みは更に地獄。
もうこんな経験2度と嫌。涙を流しながら天井を眺めていた。

この願いが通じたのか、32歳の時に再び真珠腫性中耳炎を発症し入院手術。再び尿道の痛みで泣く事になり、再びもうこんな経験2度と嫌と涙を流しながら天井を眺めることになる。

というように幼少の頃から病院に行っているので、当然待合室で待つことが多い。その時子供の頃からぼんやりと考えていたことがある。
病院中にピエロがいたらいいのにな。
大きな病院は外来や入院の患者が大勢いるので、どこか暗い雰囲気が漂っている。病気になると明るき気持ちになんかならないし、自然と位気持ちになってドヨーンとした空気が体から出ている様な気持ちになる。

そんなものだから、病院内の決して明るいものではない。
だから、ピエロを放つ。100人放った。
ピエロは邪魔にならないように、忙しく歩き回る医療関係者や、検査やお見舞いや売店に行く為に歩く患者さん達の間でおどけてみせる。
しかし、皆はそのピエロが見えていないのか、何のリアクションも起こさない。ピエロ達がおどけている間をスッと抜けていく。
僕は耳鼻科の待合室でそれを見ている。ピエロ達はどこか寂しそうだ。
でも、ピエロ達は再びおどけてみせる。ジャグリングなんかもしたりして。
「危ないでしょ!」
ピエロ達は看護師さんに怒鳴られてしまった。
さすがに心が折れたのか、ピエロ達はうつむいて院内をただ歩き回る存在になってしまった。
1人のピエロが僕の前を通り過ぎた。咄嗟にピエロの服を掴んだ。ピエロは少し嬉しそうに、でも困ったかのような表情を浮かべて、ほんの少しだけおどけてみせた。
そして再びとぼとぼと歩き始めた。
ピエロ。どこへ行くの?売店に行くの?
僕はとても悲しい気持ちになった。
院内をうろつく100人のピエロは時々思い出したかのようにおどけてみせるが、誰も何も見ていない。
しばらくすると、病院近くにある居酒屋に100人のピエロがいりびたるようになり、皆狂ったように酒を飲む姿をよく見かける。

僕は待合室の椅子に座りながら、神妙な面持ちで妄想している。
病院にピエロ。いたらいいな。

 

唐揚げライス

先週の土曜日、嫁さんと出かける前にお昼を食べようと思ったが、嫁さんはあまりお腹が空いておらず「どこかで食べてくれば?」と言われたので、いつも行こう行こうと思いつつも中々タイミングが合わず通り過ぎていたおっちゃんが1人で切り盛りしている中華屋が近所にあったので、そこへ行くことに。

 

だがしかし、お店はお休み。

 

しょうがないので、もう1軒行きたいと思っていたこれまた中華屋があったのでそこへ行くことに。

 

無事開いていた。

 

中華料理と書かれた暖簾をくぐる。

 

カウンターとテーブル2席。

 

割烹着を着たおばあちゃんが出迎えてくれた。

奥ではおじいちゃんがラーメンの麺を仕分けていた。

 

壁に貼り付けられている黄色い短冊を見て、どれを食べようかと凄い迷った。

定食にするか?

ラーメンだけにするか?

それとも炒飯とラーメンにしちゃう?

 

うんうん唸りながらメニューを端から端まで眺めていると、唐揚げの文字に目が止まったので、

「唐揚げって定食に出来るんですか?」

おばあちゃんに聞くと、

「@%▽〇×」

聞き取れない言葉が返ってきた。おばあちゃんは歯がほとんどなかったので、空気が漏れてちゃんとしゃべれていなかった。

僕がえ?という顔をしていたので、もう一度言ってくれたのが、

「唐揚げライス?」

だった。

「そうです」

と僕は強く頷いた。

 

唐揚げライスとは、餃子の満州で唐揚げと白飯を頼むと店員さんが厨房に通す時の通称である。

中華屋ではきっとおなじみの言葉のはず。

 

おばあちゃんは僕の言葉を聞いた、厨房に入って調理を始めた。

おじいちゃんはずっと麺の仕分けをしている。

テレビの音は小さめで、とても静かで緩やかな空気が流れる空間だった。

 

おばあちゃんは何かを炒め始めた。

僕は料理が出来るまでスマホ都築響一のROADSIDERS' weeklyでも見ようかとポケットに手を入れたが、忘れていたことに気付く。

しょうがないのでテーブルの下に置いてあった雑誌を読むことにした。置かれていたの新潮や文春と類のもので、あまり見る気にはなれなかったので、仕方がなくリンネルを眺め始めた。

ページを開くとたまたま菊池亜希子さんのコラムだったので、じっくり読んでみたところ、これがとても面白かった。

写真についてのコラムで、最近は夫と子供の写真を撮ることが多いが自分が家族と写っている写真が無い、ということから始まるもので、何気ない話題だが短い中にきちんと思っていることと伝えたいことが的確に書かれていて、この人のコラムを買って読んでみようという気持ちになった。

他にも嫁さんが好きな高山なおみさんの神戸での暮らしが書かれた記事もあり、興味深く読んでしまった。

 

その途中でおばあちゃんが厨房の横にある冷蔵庫からカレーのルーらしき物を取り出しているのが見えたが、特に何も気にならなかった。カレー味の付け合わせでも出てくるのかなと。そう思った。

 

そんなことよりも、最近はスマホばかり見て読書に集中する時間が無く、全体的に注意力散漫になってきているなと、スマホを控えるかいっそのこと破壊してガラケーにでも戻そうかなと考えていた。

 

厨房からは何の音も聞こえなくなっていた。

 

その後直ぐにおばちゃんがお皿を持ってきてこっちに来た。

やった。来たぞ。約束された美味しさ。唐揚げ様のご登場だ!

 

「はい、おまちどうさま」

 

おばあちゃんがそういったかどうかは聞き取れなかったが、僕が座るテーブルに置かれたのはカレーライスだった。

僕はそれを見て思い切り目を見開いた。

そして、あっという間に点と点と線は繋がった。というか最初から線でしかなかった。

 

僕は自分の活舌の悪さを呪ったし、唐揚げライスがカレーライスと聞き返されたことを何も疑わなかった自分の思い込みの激しさに嫌気がさした。

 

おばあちゃんはニコニコしてこちらを見ていた。

唐揚げなんですと言う気もなかったし、そんな時間も無かったので、僕はいただきますとそのカレーライスを食べた。

いつの日か、どこかの家で食べた懐かしい味がした。

 

僕はお金を支払い、

「ここらへんに住んでいるんですか?」

というおばあちゃんの言葉に、

「はい。また来ます!」

と返し店を出た。

 

次は唐揚げと白いご飯を下さいと、ちゃんと注文しようと思う。

それでカレーライスが出てきたとしても、僕はまたそれを食べるつもり。

 

唐揚げライスという名のカレーライスのお話。